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解散・総選挙でTPPはどうなる? [経済]

 ハワイ州ラハイナで開催されたTPPに関する12か国の閣僚会合は、大筋合意できずに7月31日閉幕した。次回の閣僚会合の日程は決まっていないが、8月中の開催は厳しく、早くとも9月以降とみられている。
 カナダが交渉の遅れをもたらしている原因は、知的財産権と酪農の供給管理制度で譲歩できないことにある。日本の甘利明TPP担当大臣は「12か国全体での合意が大事だが、どうしても間に合わない国があれば、後から参加してもらう選択肢もある」と述べ、名指しは避けたもののカナダを婉曲に批判した。
 交渉が秋に長引くなら、アメリカは大統領予備選シーズンを迎える。民主党支持者はヒラリー・クリントン氏にTPPを潰せと迫り、共和党支持者も彼らの候補にオバマを妨害しろと迫り、レイムダック化したオバマ大統領は進退窮まるだろう。
 そんな中ハーパー首相は8月2日、下院を解散し総選挙に打って出た。彼は記者団に「カナダは選挙運動の期間中、交渉のテーブルにとどまるし、そうすることが重要だ」と語った。
 カナダの酪農家のかなり多くは、ケベック州にある。同州のジャン・シャレー元首相(カナダ進歩保守党元党首でもある)はそれを認識したうえで、世界第3位の経済大国日本との貿易で利益を得るために、カナダはTPPには絶対に参加する必要があると説く。
「カナダはTPPに参加しなければ、孤立する。」
「農家ははっきり二手に分かれている。牛肉・豚肉生産者は、TPPをより大きい市場に参入する機会として見ている。」
 カナダにとって日本は、アメリカ、中国、イギリスに次ぐ4番目に大きい輸出市場である。日本との自由貿易協定がまとまれば、年間27億米ドルの対日輸出増につながり、カナダ経済にとって38億ドルの拡大が見込まれる。

 カナダで2番目に多くの議席を有するケベック州は、総選挙最大の激戦地でもある。新民主党は長年ケベックで支持されなかったが、前回総選挙でケベックの最大勢力となった。とはいえその基盤は、磐石とはいえない。前回までの最大勢力ケベック連合は、失地回復のため新民主党にターゲットを絞り鋭く批判している。ケベック連合から分離した民族主義の新党「力と民主」は、差異化を図ろうとケベック連合と新民主党を攻撃する。自由党はかつてのケベック支配者であり、失った支持を取り戻そうと懸命だ。
 貿易問題でやり損なえば、有権者に見捨てられ奈落の底に落ちることもありえる。新民主党は乳製品の市場開放に強く反対しているが、与党保守党も供給管理制度の維持をアピールしている。
 ウィルソンセンター・カナダ研究所のローラ・ドーソン所長は、TPP交渉は進展しないだろうとみている。
「誰だって選挙期間中に票を失うようなことはしたくないでしょう。ハーパー首相は農業分野で妥協することになるでしょうが、可能な限り交渉を遅らせるでしょう。」
 だがシャレー元首相は、ハーパー首相が選挙期間中にTPPの大枠について交渉をまとめ、その結果を有権者にアピールするのではないかと予測した。
 貿易問題が争点になった選挙といえば、北米自由貿易協定(NAFTA)が争点になった1988年が思い出される。これを推進したマルローニ首相は、反対票が自由党と新民主党に分散したため勝利した。古い例ではローリエ首相が、アメリカとの自由貿易を訴え1911年総選挙で大敗している。
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