So-net無料ブログ作成
  • ブログをはじめる
  • ログイン

ハーブ党、マリファナ党、セックス党…ユニークなBC州選挙 [バンクーバーとBC]

 ブリティッシュコロンビア(BC)州議会選挙が、2009年5月12日に実施される。最大の争点はBCレイル売却に伴う与党自由党の汚職で、最大野党の新民主党が政権奪回できるかどうかが注目されるが、これとは別に、大小さまざまの泡沫政党の行方も隠れた見所である。

 移民の多いカナダの中でも、特に移民の割合の多いBC州の政治はユニークである。1872年には「アモール・デ=コスモス」(ラテン語で「宇宙の愛」)という人物を首相にした。彼は生まれたときは「ウィリアム・スミス」という名だった。
 「自分たちのために考え自分たちの政治家になることを決意した市民の党」(Party Of Citizens Who Have Decided To Think For Themselves And Be Their Own Politicians)や、「より自覚するため考えて行動する雇用者のプラチナ党」(The Platinum Party of Employers Who Think and Act to Increase Awareness)は、明らかに長い名前で目立とうとしている。あまり長いと、投票所に行ったとき党名を忘れてしまうおそれもあるが、カナダは日本のように自書式ではなく記述式なので、その心配はない。前者は2001年州議会選挙で2人の候補を立て、後者は2005年州議会選挙で11人の候補を立てたが、全員落選した。
2680198 労働短縮党(Work Less Party)は、週32時間労働への短縮を訴える党である。「より短い労働、より少ない消費、より良い生活」をスローガンに掲げ、飽くなき生産と消費に邁進するのではなく、ゆとりある生活を家族や友人とともに、スポーツ・芸術など自己啓発に努めることを理想とする。また残業より新規の雇用を奨励し、目標を達成した企業には報奨金を与えるシステムを主張している。
 同党のケステン・ブロートン候補は語る。
「我々は、政権与党になれるだろうか? なれないだろう。でも私は望んでいる。何人かは笑い、何人かは頷き、何人かは議論に耳を傾けることを。」
 労働短縮党は2005年州議会選挙に11人の候補を立てたが、党の方針により1日7時間以上選挙運動ができず、全員落選した。

 もし労働時間短縮が実現されたら、人は何をすればいいのだろうか。その答えとなる鍵を握っているかもしれないのがハーブ党、マリファナ党、そしてセックス党である。
 マリファナ党(Marijuana Party)は、マリファナ合法化を目指す党である。2001年州議会選挙では、BC州の全選挙区に79人の候補を立て、得票率3.2%を記録して注目を浴びた。しかしテレビ討論では、より少ない候補を立てより少ない票を得た党が招待されたにもかかわらず、マリファナ党は拒否された。2005年州議会選挙では44人の候補を立てたが、いまだ当選者を出していない。今回州議会選挙では、マリファナ党は緑の党候補の推薦に回るため、「ハーブ党(Herb Party)」にとっては絶好のチャンスになるかもしれない。
2680197 セックス党(Sex Party)は、その名称から乱交パーティと誤解されがちだが、学校教育における実技を含む性教育の推進、猥褻罪の廃止、売春合法化、性に関する報道規制見直しのほか、18歳未満ないし3人以上のアナルセックスを禁じた刑法条文の撤廃を主張する、れっきとした政党である。党員は約230名で、過去に選挙で3人の候補を立てているが、全員落選している。2008年に党パンフレットを郵送拒否されてしまい、カナダ郵政公社を訴えて勝訴したことで一躍知名度を上げた。
 アダルトショップを経営するジョン・インス党首は、
「現状の性教育はもっぱら、性病や望まない妊娠を防ぐことばかりに焦点を当てているが、それは家政学を教えるとき、食物の安全性ばかりを論じているかのようだ。しかし最も大切な、性の喜びについては教えているだろうか?」
と疑問を呈し、こう訴えた。
「選挙運動によって、我々はこれらの問題を有権者に訴えることができる。民主主義にとっては、ただ当選することよりもそのプロセスが重要なのだ。」

 政党は本来、経済・財政・外交・軍事などの諸政策を包括的に提示するものだが、ビクトリア大学で政治学を教えるノーマン・ラフ教授は、一つのポリシーだけを掲げる政党が近年多発していることに注目した。そして、かつて第一次大戦から復員した軍人が、政治に不満を抱き大量立候補した前例を挙げ、労働短縮党もそれと根は同じだと喝破した。
 1993年の選挙法改正で、政党登録には最低50人の立候補を必要とし、また候補者一人につき1000ドルの供託金提供が義務づけられたことで、泡沫政党の多くは姿を消した。だが連邦最高裁が2003年、この規定を無効と判断したことで、泡沫政党は再び雨後の筍のように出現している。
 カナダ特に西部はポピュリズムの影響が強く、有権者は気まぐれで選挙はしばしば極端な変化を生む。BC州議会選挙では、1952年から政権を握っていた社会信用党が、1991年に7議席に転落した。自由党は80年代終わりには議席なしだったのが、今は与党である。連邦議会では1993年、与党進歩保守党が151議席から2議席に転落した。かつては泡沫政党だった緑の党は、今では議席を争う有力政党になっている。現在の与党カナダ保守党も、1987年に旗揚げした改革党が源流だが、当初は一地方政党としか見られていなかった。今は泡沫政党でも、未来には有力政党になっているかもしれないという希望が、多くの人々を政界進出へと駆り立てているのだ。


写真上:労働短縮党の党章。
写真下:セックス党候補者のディートリヒ・パジョンク(左)とスカーレット・レイク(右)。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0