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同性愛禁止のミッション系大学、ロースクール設立取り消しに [人権]

 トリニティー・ウェスタン大学(ブリティッシュコロンビア州ラングレー市)が、異性配偶者以外との性行為を禁じる誓約書を生徒に提出させていることを理由に、ロースクールの設立をブリティッシュコロンビア州とオンタリオ州の法律協会に拒否されていた問題で、連邦最高裁は6月15日、法律協会の措置を認める判決を下した。

 キリスト教に基づく教育を行う同大学は、全ての生徒と教職員に誓約書の提出を求めている。そこには「低俗な言葉の使用、嘘、欺き、盗み、ポルノ等品性を下げるもの、男女間の結婚の神聖さを汚す性行為」を慎むことが記載されている。
 同大学のロースクール設立は、ブリティッシュコロンビア州政府によって2013年に仮認可されたが、後に撤回された。不認可をめぐりオンタリオ州・ブリティッシュコロンビア州・ノバスコシア州で裁判となり、オンタリオ州裁判所ではLGBTに差別的であるという理由で不認可を是としたが、ブリティッシュコロンビア州裁判所では、具体的な危害の証拠がないかぎり大学には信条に従い行動する権利があると認められた。ノバスコシア州裁判所では、誓約書の変更を条件に認可された。
 連邦最高裁は7対2で、不認可措置を認めた。誓約書はLGBT生徒の入学を阻止する効果があるが、彼らのアクセスを確実にするために宗教を制限することは「バランスが取れ合理的である」と判断した。なお少数意見としてスーザン・コート裁判官とラッセル・ブラウン裁判官の2人は、法律協会は大学の管理方針を十分に考慮すべきで、その権限は制限されるべきだと主張した。

 ロースクール認可を進めてきた同大学のジャネット・バッキンガム教授は、大学のプログラムはうまく行っていて、多くの有用な卒業生を社会に送り出して来たと語った。
「我々は、これがカナダの多様性の損失だと思う。カナダは伝統的に、幅広い宗教的見解をもって多様性を支えてきた。今日の最高裁の判決には、非常に失望している。」
 彼女は、大学が取ることのできる対策の一つとして、誓約書の提出をやめることがあると述べた。
 キリスト教系「信教の自由研究所」のアンドリュー・ベネット理事は、最高裁は性的アイデンティティと宗教的アイデンティティの「想像上の対立」を促進したと語った。
「これは宗教的アイデンティティの問題ではなく、性的アイデンティティの問題でもない。これは基本的人権の、そして信仰的に生きる権利についての問題である。」
 彼は、判決は視野が狭く、個人が信仰の自由と良心の自由の間で悩まされることになるだけだと批判した。
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疑惑のムーア議員が写真を公表 [人権]

 新民主党のクリスティン・ムーア議員が、写真を公表した。
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「私は、彼を愛していました。」
「彼は私と、とてもロマンチックな関係でした。それは合意のある関係でした。私はそのことを思い出し、ただ泣くばかりでした。一人の人がどれほど嘘をつけるかを見るのは、恐ろしいことです。彼がなぜこんなことをしたのか、わかりません。」
 彼女は最近、支持者からの励ましのメッセージのほか、いくつか匿名で悪意に満ちたメッセージを受け取ったと語った。

 彼女はそれから、2013年6月5日の行動について詳細に説明した。それによると、彼女はその日オフィスに軍人たちを招き、飲酒した。そのとき、ドアは開けたままだったという。
 18時30分に連邦議会でイベントがあったので、彼女はそれに出席し、軍人たちはスパークス・ストリートのパブに移った。その後カークランド氏に誘われ、彼女もパブに行きそこで再び飲酒した。彼女が「今夜は採決がある」と言うと、彼は彼女をオフィスまで送り、そこで合意のキスをした。それから彼は「服を脱ぐ?」ときいて来たが、彼女は今夜は採決があり、時間がないと答え、連邦議会に向かったという。

 だが、グレン・カークランド氏はCBCの番組で、合意のある関係を否定した。
「彼女は、我々が『関係』を持ったと言っているが、完全に嘘である。9か月間に三度会ったと言うが、歯医者の方がよほど会っている。それは『関係』ではない。その話は、正確ではない。」


写真:スパークス・ストリートのパブで撮影された、クリスティン・ムーア議員所有の写真。右からグレン・カークランド氏、ムーア議員、議会スタッフ。カークランド氏の服装、特に胸にメダルが付けられていることから、2013年6月5日のものと考えられる。
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セクハラ疑惑のムーア議員が反論 [人権]

 新民主党のクリスティン・ムーア議員は5月13日、カナディアン・プレスの独占インタビューに応じ、彼女を告発したグレン・カークランド氏と、それを記事にしたCBCのニール・マクドナルド氏、ナショナルポスト紙のクリスティ・ブラッチフォード氏、トロントスター紙のロージー・ディマンノ氏を相手取り訴訟を起こす意向を明らかにした。
「意見を公表する前に、記事を刊行する前に、矛盾がないかどうか基本的なチェックがあるべきです。」
「私の私生活と性生活は暴露されました。それは、私と家族にとって厳しいことでした。」

 彼女はカークランド氏と、2013年6月から10月まで交際していたと語った。
「私たちは、恋人同士でした。」
「彼はおそらく嘘をついていて、私を愛してはいなかったでしょう。でもそのとき私は、愛し合っていると信じていました。」
image.jpg カークランド氏は2013年6月5日、下院の国防委員会で証言している。二人はその日に出会い、彼の主張によれば、彼女はその夜彼のホテルについて行ったという。だがムーア議員は、彼の主張は全く馬鹿げていると一蹴した。なぜなら彼女はジンを飲まないし、下院の記録は彼女がその夜22時40分には議会に出席していることを示している。その夜は採決があり、約1時間後に終了している。彼女は、彼に電子メールで呼ばれてホテルに行ったのは後のことで、そのとき合意のある性的関係を持ったと説明した。
 彼女の主張によると6月5日、軍人たちをオフィスに招き、飲酒した。夕方には解散したが、カークランド氏に誘われ、彼らと後刻オタワのバーで会った。彼女が「今夜は採決がある」と言うと、彼は彼女をオフィスまで送り、そこで彼女を抱きしめてキスしたという。
「キスしたのは、彼の方でした。私は、彼のキスを受け入れました。でも最初の一歩を踏み出したのは、彼の方でした。」
 彼女は、二人はその後も連絡を取り合い、二度会ったと語った。
 彼は2013年6月21日、彼女の住むケベックへ行くための旅程に関する電子メールを送ったが、この旅行は後に彼がキャンセルした。彼女は二人が交際していた証拠として、電子メールと飛行機のチケットをカナディアン・プレス記者に見せた。
 カークランド氏は、2013年7月、サスカチュワン州ケノシー・レイクに友人たちと滞在しているとき、彼女が呼ばれてもいないのにやって来たと主張する。だが彼女は、カナディアン・プレス記者に「恋人たちの旅行」と称する写真を見せた。どの写真も二人だけで、第三者は写っていなかった。
 カークランド氏は、教えてもいないマニトバの自宅に彼女が押しかけて来たと主張する。だが彼女は、訪問する2日前に予告しており、彼がウィニペグまで迎えに来たと語った。
 彼女は、二人が別れたのは彼の離婚が難しいのと、二人の地理的距離が遠すぎたせいだと説明した。

 カークランド氏はムーア議員の釈明を聞き、自分たちの関係は「交際」などではなく、地位と権限を持つ彼女が、弱い立場の自分につけ込んだだけだと主張した。
「『交際』とは、両者が互いに自発的に関係することだ。」


写真:連邦議会で証言するグレン・カークランド氏。
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男性議員をセクハラで告発した女性議員、自身のセクハラ疑惑が浮上 [人権]

 #MeToo運動の先頭に立ち、男性議員をセクハラで告発した新民主党のクリスティン・ムーア議員(34歳・既婚者)が5月8日、自身のセクハラ疑惑により、新民主党幹部会の資格を停止された。
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 (1) ムーア議員、ウィア議員のハラスメントを告発
 ムーア議員は1月30日、新民主党のエリン・ウィア議員が党の女性職員などに嫌がらせをしていると告発した。
 彼が幹部会の役職に就きたがっているのは、同僚議員の誰もが知っていた。彼は支援を得るため、議員たちに電子メールを送っていた。だがムーア議員は、あなたの日頃のふるまいについては知っている、私にではなく他の女性たちへの、と返信した。
「あなたは幹部会の中で、その地位を得るにふさわしいと思う最後の人である。あまりに多くの女性たち(ほとんどは職員だが)からの苦情が、私に来ている。そして女性として、私はあなたと、独りでは会いたくないと感じている。政界で今起きていることに鑑みれば、あなたは面倒を避けるため役職に就くべきでないと、私は考えている。」
 報告を受けてシン党首は、問題はセクシャルな嫌がらせではないと判断したが、ウィア議員を2月1日、調査報告が終了するまで幹部会の資格を停止すると決定した。
 シン党首は「これ以上のアプローチは不要だと言われたとき、ウィア議員はそれに従った」と擁護した。だがウィア議員がその後、メディアを通して「私は何が問題なのかわからない。嫌がらせを受けた人などいない」「幹部会役職への意欲を表明したことへの応答として攻撃が始まったことからして、それには政治的動機があるように思える」と発言したことを、シン党首は問題視した。彼は、ウィア議員は反省と後悔を表明せず、メディアを使って告発者を攻撃しようとしたと断じた。
「重要な第一は、常に犠牲者を信じることである。第二に、前に出て告発したいと思う犠牲者に、安全と思われる居場所を確保することを私は約束する。」
 調査報告を受けてウィア議員は、5月3日に幹部会から除名された。彼は院内で、1961年に新民主党に合流し消滅した前身のCCF(The Co-operative Commonwealth Federation※一部で「協同連邦党」と訳されているが、某カナダ学会からこの訳語を使用しないよう強く要請されている)の会派を称している。かつてCCFが新民主党に合流した前例を、再度実現させるのだという。
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 (2) もう一人の犠牲者
 ムーア議員がウィア議員のセクハラを断罪するのを、一人の退役軍人は2400キロ離れたマニトバ州ブランドンで見つめていた。
 グレン・カークランド伍長は2008年、アフガニスタンで装甲車を運転していたとき、ロケット弾の攻撃を受けた。彼は膵臓と脊椎と右目と脳を負傷し、視覚と聴覚に障害を負った。PTSDも患った彼は、抗うつ薬・オピオイド鎮痛剤・インシュリン・抗生物質などの毎日の服用を欠かせなくなった。
 彼は、負傷した退役軍人の扱いについて証言するよう下院の国防委員会に依頼され、2013年6月、胸にメダルをつけて議会で証言した。彼は「退役軍人の父が、軍人としての責務を果たせば国が最後まで面倒を見ると言っていたが、それは間違いだった」「私は壊れてしまって、もう役に立つことはできない」と、泣きながら語った。
 委員会が終了すると、ムーア議員にカードを手渡され、聞きたいことがあるのでオフィスに来てほしいと言われた。彼は元軍人で、上官には絶対服従することを教えられていたので、何の疑問も持たず言われたとおりにオフィスに行った。するとムーア議員がジンを出し、飲むよう勧めた。彼は、薬を服用しているからと言って固辞したが、看護士の資格を持つ彼女は「大丈夫よ」と言って、さらにもう2・3杯勧めた。彼は次第に、彼女の関心が自分の健康や福祉ではなく、別のところにあると察した。
 彼はその夜ホテルに戻ったが、彼がメディアに語ったところによれば、彼女はホテルについて来て一夜をともに過ごしたという。これについてCBCは、彼女が「不適切な性的関係を持った」と断定的に報じた。
 彼は、彼女との関係は一度きりのものだと考えた。だが彼女はその後、「露骨なメッセージ」を何度も送り続け、住所を教えていないのにブランドンの自宅まで押しかけて来るようになった。
 カークランド氏は、メディアに次のように語った。
「私は、レイプや何かの被害を訴えているわけではない。」
「だが彼女は、不適切だった。彼女は欲しいものを手に入れるため、地位を利用し権力と権限を行使した。」
「そこには確かに、力の不均衡があった。彼女には地位と権限があった。そして彼女がウィア議員と同じ道徳的立場に置かれているのは、何とも皮肉なことだ。」
 資格停止は一時的な措置であり、ムーア議員は調査報告が出るまで幹部会メンバーのままであるが、委員会と党における全ての役職を解かれている。シン党首は、確かな証拠がなくても「常に犠牲者を信じる」と断言した以上、前例と同じ措置を取らなければならないだろう。
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 (3) もう一つの告発
 ムーア議員は、2015年にももう一人の議員のセクハラを告発し、政治生命を奪っている。
 彼女の主張によれば2014年3月、友人とみなしていた自由党のマッシモ・パチェッティ議員が「オタワの家」と呼んでいたホテルに行き、「明確な同意のないセックス」をする羽目になったと訴えた。このとき彼女は、彼にコンドームを渡したという。
 彼は自由党を永久追放され、政界引退に追い込まれた。
【参照】 http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2015-03-20
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図上:#MeToo運動のブーメランを食らったクリスティン・ムーア議員。
写真中左:クリスティン・ムーア議員。
写真中右:エリン・ウィア議員。
写真下:グレン・カークランド氏(車椅子の人物)。
図下:カナダによくいる捕食者。狐・熊・クーガー・下院議員。下院を英語で“House of Commons”と言うのにかけている。
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グールド民主機構大臣、閣僚で初めて出産・産休へ [人権]

 カリナ・グールド民主機構大臣(30歳)は、出産し産休を取る最初の連邦大臣になろうとしている。
 出産予定日は3月上旬で、それまでは政務を続け、出産後は少なくとも5月まで産休を取る予定である。出産後は、スコット・ブライソン予算庁長官が政務を代行する。
 大臣と議員は雇用保険に加入してないため、産休を取得する当然の権利を有しない。病気休暇なら21日まで取得できるが、これを超える休暇は公の制度ではなく、党の裁量の問題である。

 1921年に初めて女性が連邦議会に立候補して以来、1957年にエレン・フェアクロー(進歩保守党)が大臣になるまで女性閣僚は登場しなかった。グールド大臣は2017年1月、29歳で史上最年少の女性閣僚に任じられている(史上最年少の閣僚はジャン・シャレーの28歳)。
 グールド大臣が生まれた1987年、シーラ・コップス下院議員(自由党)は、現職下院議員として初めて出産した。
 ミシェル・ドックリル下院議員(新民主党)は1999年、投票のため下院議場に赤子を連れ込んだ最初の議員になった。
 クリスティン・ムーア下院議員(新民主党)は、2015年総選挙の選挙期間中に出産し、数日後には選挙運動を再開した。
 ニキ・アシュトン下院議員(新民主党)は2017年、連邦政党党首選に立候補した最初の妊婦となった。投票日は10月1日で、11月に双子を出産し、1月に政務に復帰した。
 ケベック州のポリーヌ・マロワ前首相は、1981年州議会選挙に妊娠中に立候補し、投票日の11日後に出産した。彼女は1985年のケベック党党首選にも、妊娠中に立候補している。
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遺伝子差別禁止法が成立 [人権]

 遺伝子差別を禁止するS-201号法案が、3月8日下院で採決され、222対60の大差で可決された。法案は近日中に、総督の勅裁を得て成立する。
 S-201号法案は、カナダ人権法で保護する対象として遺伝子の特徴を追加し、あらゆる契約・合意の条件として遺伝子検査を求めたり、その結果を開示することを禁止し、罰則として5年以下の禁固または100万ドル以下の罰金を定めている。
 保険業界の陳情を受け、自由党政権はこの法案に反対し、これを骨抜きにする修正案を提出した。大臣全員と政務次官のほとんどは修正案に賛成投票し、かつ法案に反対投票したが、党議拘束がなかったため、自由党平議員のうち4人を除く全員が党首脳に造反し、野党の保守党・新民主党と連携して修正案を218対59で葬り、返す刀で法案を可決させた。

 採決を受けて、カナダ生命・健康保険組合の広報ウェンディ・ホープ氏は声明を発表した。
「カナダ生命・健康保険組合は、S-201号法案が大きな修正なしに本日下院を通過したことに、大いに失望している。いくつかの州と首相と法務大臣によって表明された、法案の主要な要素が違憲であるという見解に、当組合は同意するものである。」
 ジョディ・ウィルソン=レイボールド法務大臣は、法案は保険事業を管轄する州の権限に抵触すると考えたため、州や憲法学者に何度も諮問し、違憲立法の言質を取ろうと試みたが、うまくいかなかった。また自由党政権は、保険契約の除外を企図し、カナダ人権法の禁止条項に遺伝子の特徴を追加する条文以外を削除する修正案を提出した。それは、法案が人口の6%程度にあたる連邦政府職員だけに適用されることを意味するものだったが、8日夕方に超党派によって否決された。
 トルドー首相は、採決の直前に下院で演説した。
「政府は、上程された法案の要素の一つが違憲であるという立場に立っている。政府の立場は法案に反対投票することであり、議員たちにもそのように推奨する。」
 法案を支援してきたロブ・オライファント議員(自由党)は、カナダがG7で唯一遺伝子差別禁止法を持たなかったことについて、この法案はカナダの州と準州が十数年間実現できなかったことへの、連邦の適切な対応であると誇った。
「私は、あらゆる州と準州による補完的な立法を歓迎する。本心だ。私は、そうするなとは言わない。あらゆる州と準州の人権法を改正するがいい。我々には想定内だ。だが我々には、それを上回る連邦政府の権限がある。」
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 この日は国際女性デーで、市民団体「平等の声」は下院本会議場に、338の全選挙区から選ばれた338人の18歳から23歳までの女性を送り込んだ。彼女たちは、党派を超えてS-201号法案を可決したことに拍手を惜しまなかった。
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遺伝子差別禁止法案の修正案が否決 [人権]

 遺伝子差別を禁止するS-201号法案の修正案が、3月7日下院で採決され、超党派の反対で否決された。
 この法案はもともと、あらゆる契約・合意の条件として遺伝子検査あるいはその結果の開示を求めることを違法とし、罰則として5年以下の禁固または100万ドル以下の罰金を定めたものである。
 カナダは公営無料医療・国民皆保険が実施されているにもかかわらず、G7で唯一遺伝子差別を禁止する規定がない。それゆえ多くのカナダ人が、結果を悪用されることを恐れ、検査を受けようとしない。その結果、ある種の病気の罹りやすさやを知り、それを予防することができない。
 2015年の総選挙では、自由党・保守党・新民主党の三大政党全てが、遺伝子差別禁止の法制化を公約した。S-201号法案は、「無所属自由党」のジム・カウアン上院議員(当時、現在は引退)が2015年12月に上程した個人法案(※党幹部会で採択されず、党議拘束がない)で、2016年4月に上院で可決され、12月に下院法務委員会を満場一致で通過した。ところが保険業界が激しいロビー活動を行った結果、自由党政権は法案の換骨堕胎を図るようになり、2月以降いくつかの修正案が出されることになった。7日に採決された修正案は、自由党のランディ・ボワソノール議員によって提出されたもので、雇用者が就職希望者に遺伝子検査を受けさせることの禁止と罰則規定を削除するものだったが、党議拘束のない自由投票で、自由党から大量の造反者が出たため、保守党と新民主党の反対で否決された。

 カナダ生命・健康保険組合は、S-201号法案が修正なしに成立すれば、保険料の高騰と保険金の削減につながると警告し、保険契約を除外するよう強く訴え、これまでに73回もの陳情を行っている。同組合は今年1月、保険契約者の85%にあたる、保険金25万ドル以下の契約においては遺伝子検査の結果通知を要求しないというガイドラインを定め、2018年1月1日から実施することを決めていたことを強調した。
「25万ドルの上限設置は、遺伝子検査を通して重要な健康リスクを知った顧客が、これを通知することなく異常に巨額の生命保険契約を申し込むことができないようにするものだ。さもないと、契約者全員の保険料が高騰し、保険金を得る人は少なくなる。」
 だがカウアン元議員は、遺伝子差別が法で禁止されているアメリカ・イギリス・フランス・イスラエルにおいて、巨額の保険金詐欺が起きていない事実を指摘した。
「知っての通り、彼らの論点は、法案が保険業界を壊滅させるというものだ。だが同様の保護法のある国々で、そんなことが起きただろうか。我々が知る限り、保険業界はうまく行っている。」
 自由党のロブ・オライファント下院議員は、引退したカウアン元議員に代わり、S-201号法案の支援者となった。
「カナダにおいて、人権問題を大企業の自主規制に任せるわけにはいかない。」
「子供たちの遺伝子検査を、医師が行いたいのに、将来の差別を恐れて親が拒否することが毎月のようにある。これは特定の病気に対処する医師への足枷であり、最善の治療を受ける子供への足枷である。それは、親がするべき決断ではない。」

 いっぽうジョディ・ウィルソン=レイボールド法務大臣は、連邦議会による法制定は州の権限を侵害するおそれがあると考え、諸州に手紙を送り、意見を求めた。するとマニトバ・ケベック・ブリティッシュコロンビアの3州が、全ての州の意見を聞きたいので法案は保留にしてほしいと回答した。ところが、法務委員会に召致された4人の憲法学者のうち3人が、法案は違憲ではないと答申した。そこでウィルソン=レイボールド法務大臣は、別の憲法学者の意見をさらに求めたが、反応はなかったという。新民主党のドン・デービス下院議員は、自由党政権が始めた憲法問題について「煙幕以外の何ものでもない」と吐き捨てた。またカウアン元議員は、自由党政権が総選挙で公約したにもかかわらず反対していることを「興味深い」と語った。

 政府の依頼により、もう一つの修正案が3月8日に投票にかけられる。この日は奇しくも、国際女性デーである。
 BRCA遺伝子に異常がある女性は、乳癌になる確率が85%、卵巣癌になる確率が60%とされている。異常のない女性では、それぞれ11.7%と1.4%である。特にヨーロッパ系ユダヤ人(アシュケナージ)の女性は、BRCA遺伝子に異常を持つ人がそうでない人の10倍いるとされている。こうして発癌リスクの高い女性は、職場で昇進する芽を摘まれるかもしれない。また、悪い遺伝子を持っている可能性とその開示を強要されるリスクを回避するため、遺伝子検査を回避し、その結果早期の治療を受ける機会を逃すことがあり得る。
 遺伝子差別を禁止するのは、女性に利するところが多いだろう。法案の骨子を骨抜きにする修正案は、おそらく超党派の反対で否決されることだろう。
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宗教差別非難動議、「イスラモフォビア」の語が物議 [人権]

 連邦議会は2月15日、人種差別・宗教差別を非難する103号動議(M-103)の審議に入ったが、その文中に「イスラモフォビア」(イスラム嫌悪)の文言があることが議論の的になっている。
 この動議は2016年12月、自由党のイクラ・カリッド議員(オンタリオ州ミシサウガ-エリン・ミルズ選挙区選出)によって提出されたもので、ケベック市モスク銃撃事件を受けて審議されることになった。
 カリッド議員はパキスタン生まれのイスラム教徒だが、1990年代にカナダに移住したとき、近所の子供たちに「ムスリムは帰れ」と言われ心を痛めたという。

 だが問題は、「政府はイスラモフォビアとあらゆる形式の構造的な人種差別および宗教差別を非難し」とあることである。
 ナショナル・ポスト紙のコラムニスト、バーバラ・ケイ氏は、表現の自由への影響と、一宗教団体への特別扱いに懸念を表明した。彼女は政府の統計を引用し、2013年に起きたヘイトクライム326件のうち、イスラム教徒に対するものは65件で、ユダヤ教徒に対するもの181件の方が多かった事実を指摘した。また、イスラム法を批判した彼女のコラムのいくつかがイスラモフォビアと見なされ、カナダ刑法で罰せられるのみならず、イスラム教批判を萎縮させた結果、報復や女性迫害を含むシャリア法が事実上カナダに導入されることにもなりかねないと警告した。

 保守党内は、動議に批判的な意見が多い。保守党党首選に出馬しているピエール・ルミュー議員は、103号動議は「言論の自由への攻撃」であり、「一宗教への特別な保護を提唱する」と批判する手紙を支持者に送った。
 同じく保守党党首選に出馬しているケリー・リーチ元労働大臣も、動議に反対するとツイッターで述べた。
「言論の自由は、基本的なカナダの価値である。イスラム教、キリスト教、ユダヤ教、ヒンズー教、無神論、その他いかなる信仰であろうと、それを信じまた批判する権利があることを、我々は再確認しなければならない。」
 同じく保守党党首選に出馬しているリサ・レイト前運輸大臣も、不支持を表明した。
「103号動議は、論争の的となり適切とは思えない『イスラモフォビア』の文言に焦点を当てている。それゆえわたしは、これを支持しない。」
 同じく保守党党首選に出馬しているマクシム・ベルニエ元外務大臣は、「イスラモフォビア」の語が削除されないかぎり反対するとフェイスブックで述べた。
「この動議は、イスラム教を批判する我々の権利を制限する第一歩だろうか?」
 同じく保守党党首選に出馬しているエリン・オトゥール前退役軍人大臣も、「イスラモフォビア」の文言に危機感を抱き、その文言を含まない同様の「e-411号請願」を発表して、7万人のカナダ人の署名を集めた。彼はカリッド議員に、論争を巻き起こしている103号動議を取り下げ、e-411号請願に加わるよう呼びかけた。
「『イスラモフォビア』の文言が拡大解釈され、イスラム教あるいはその過激派に対する純粋な批判がイスラモフォビアとみなされると、相当な数のカナダ人が考えていることは明白だ。」
「私たちは良い話し合いの機会を持った。そして彼女は、私の提案を考慮すると言った。」
 同じく保守党党首選に出馬しているマイケル・チョン元政府間関係大臣は、下院がすでにユダヤ教・ヤジディ教・コプト教など他宗教への憎悪を非難したことを評価し、条件付きではあるが103号動議への支持を表明した。彼は、言論の自由に対するより大きな脅威は、あらゆる定義可能な集団に対する憎悪の表明を犯罪と規定した刑法第319条であると述べ、その廃止を主張した。彼は、不快な意見でさえ公共の場で議論され、自由な言論の「消毒剤」で反論されるべきであり、民主主義社会において言論の自由を制限するバーは非常に高いものでなければならないと、CBCニュースで訴えた。
「ヘイトスピーチに対抗する正しい方法は自由な言論であり、刑法ではない。」
「刑法第319条は、危害があまりに広く解釈されている。しかも第319条は、議論を萎縮させ、問題を地下に潜行させることになる。」
 ロナ・アンブローズ暫定党首は、修正されないかぎり動議を支持しないと述べた。だが具体的にどのような修正を求めているかについては、明言しなかった。
 保守党は16日、「あらゆる形式の構造的な人種差別、宗教上の非寛容、そしてイスラム教徒・ユダヤ教徒・キリスト教徒・シーク教徒・ヒンズー教徒およびその他の宗教コミュニティへの差別を非難する」という内容の新たな動議を提出した。だが自由党は、それは103号動議を水で薄めたようなものだとして反対することを決めた。アンブローズ暫定党首は、これを「党派ゲーム」だと非難した。

 トルドー首相は、イスラム教が一般に女性に抑圧的であることに鑑み、フェミニストである自身の信条と動議はどのように整合するのかと問われ、憲法に規定された個人の権利は、社会において他者の権利と調和していなければならないと回答した。
「混雑した映画館で『火事だ!』と叫ぶ権利はなく、それを言論の自由とは言わない。それは人々を危険にさらすことになる。そして我々が10日前にケベック市で見たように、我々の社会を危険にさらすほかのものがある。我々はそれに対し、強く立ち向かう必要がある。」

 103号動議は拘束力のない動議であるにもかかわらず、インターネット上ではこれを法案と勘違いして、過敏に反応する人々が続出した。中には、動議がただちにイスラモフォビアの非合法化や、シャリア法の導入を意味するものと誤解する者もいた。
 動議には、73のムスリム団体やその他の団体が支持を表明しているが、もちろん全ての団体が支持しているわけではない。イスラエル・ユダヤ問題センターのシモン・フォーゲル会長は、宗教への憎悪を非難するという本来の意図を実現するため、「イスラモフォビア」の文言を削除するようカリッド議員に申し入れている。
「そのような提案が、意図された目的にかない、誠実で合法的な市民の会話を抑制する別の意図に乗っ取られないことが、不可欠である。」
「イスラム教への全ての批判は、イスラモフォビアか?もちろんそうではない。ユダヤ人コミュニティは、四面楚歌だと感じているムスリム・コミュニティへの支援と連帯を望んでいるが、カナダの価値とは相容れないだけでないイスラム教の性質に関する建設的議論を、犠牲にしてまで替えることはできない。」
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【世論調査】カナダ人は意外と移民に非寛容? [人権]

 トロント大学で政治学を教えるマイケル・ドネリー教授による最近の研究は、カナダ人が彼らが思うほど移民や難民に寛容ではないことを示すとともに、カナダにおいて反移民感情が増加する可能性があると結論づけた。
 論文は「カナダ例外主義:我々は善良かそれとも幸運か」というタイトルで、イプソス社が1月18日から27日までの間に1522人のカナダ人を対象に実施したオンライン世論調査に基づいている。調査は、トランプ大統領によるイスラム7か国民入国禁止令や、ケベック市モスク銃撃事件より前に、英語またはフランス語で行われた。

 被験者の約3分の1は、移民を誘致するにあたりイスラム教徒は差別すべきだと回答し、3分の1は白人の移民を有色人種に優先すべきだと回答した。
 被験者の半数は「多くの移民たちはカナダの社会に溶け込んでいるように見えない」、被験者の65%は「移民はよりカナダ人らしくなるため習慣を改めるべきだ」と回答した。
 移民の受け入れを終了することには、被験者の20%が賛成し、45%が反対し、35%は賛成も反対もしないと回答した。
 これについてドネリー教授は、「これらの結果は、深刻な反移民運動がカナダで決して不可能ではないことを示唆する」と語った。
 彼はまた、2010年の調査でアメリカ人の43%が国境閉鎖に反対だと回答したにもかかわらず、トランプ氏が大統領に当選した事実に注目した。各種世論調査は、トランプ氏に投票した人々は経済よりも移民やテロ問題に関心を抱いていたことを示した。だが彼は、移民が政治で重要な争点になったことはカナダではほとんどなかったと述べた。
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新10ドル札の肖像に「カナダのローザ・パークス」ビオラ・デスモンド [人権]

ViolaDesmondHR.jpg ビル・モルノー財務大臣は12月8日、2018年に発行される新しい10ドル札の肖像に、ビオラ・デスモンドを採用すると発表した。これまで紙幣の表の肖像は国王か元首相で、民間人が描かれるのは初めて。黒人やカナダの女性としても最初となる。
 デスモンドは1914年、ノバスコシア州ハリファックスに生まれた。彼女は、黒人女性のためのヘアケアやスキンケアが地元にないことを憂い、美容師になることを志したが、ノバスコシアには黒人が入れる美容学校がなかったため、モントリオール・アトランティックシティ・ニューヨークで学んだ。卒業後はハリファックスに戻って美容師となり、黒人女性も学べるデスモンド美容文化専門学校を設立した。
 彼女は1946年11月8日、ノバスコシア州ニューグラスゴーのローズランド劇場に行き、メイン席に座ったが、従業員からそこは白人専用席で、黒人はバルコニー席に座るよう指示された。彼女が拒否すると、暴力的に排除されたうえ、逮捕された。彼女は、席の料金の差について遊興税1セントを脱税した容疑で起訴され、罰金20ドルと法廷費用6ドル(※現在の価値ではほぼ10倍)の支払いを命じられた。ローザ・パークスがバスで白人に席を譲るのを拒否する、9年前のことだった。
 1965年に死去したデスモンドは、2010年ノバスコシア州のメイアン・フランシス副総督(※黒人女性)によって恩赦された。カナダで死後に恩赦されたのは、彼女が最初である。

 モルノー財務大臣は語った。
「勇気、強さ、決断、我々皆が日々必要とすることを、彼女は体現している。」
 長年彼女の偉業を語り続けてきた妹のワンダ・ロブソンさんは、記者会見のその場にいた。
「紙幣の肖像に女性を載せることができるとは、何とすばらしいことでしょう。でも、紙幣の肖像になる女性を姉に持つことは、格別にすばらしいことです。」

 政府が3月、新しい紙幣の肖像としてカナダの女性を採用すると発表すると、2万6000件以上の要望が寄せられた。そして最終的に残った候補が、ポーリン・ジョンソン(インディアンの詩人)、エルシー・マギル(世界で初めて航空工学の学位を取った女性)、イドラ・サン=ジャン(婦人参政権を推進)、ファニー・ローゼンフェルド(女性金メダリスト)とデスモンドだった。そしてカナダ銀行の諮問委員会は、障壁を克服した人、人々に影響を与えた人、長く続く偉業を達成した人を探していたという。デスモンドは、そのいずれにも合致した。
 人気のあったルーシ・モード・モンゴメリ(女流作家)、エミリー・カー(女流画家)、ガブリエル・ロワ(女流作家)は最終的にノミネートされなかった。世論調査では、婦人参政権を推進したネリー・マクラングが最も人気があったが、彼女を含む「フェイマス5」は、2004年に発行された50ドル札の裏にすでに描かれていたため、今回は採用されていない。なお彼女たちは、2011年に発行された現行紙幣には掲載されていない。
 現在10ドル札に描かれているジョン・マクドナルド(初代首相)と、5ドル札に描かれているウィルフリッド・ローリエ(元首相)は、50ドル札か100ドル札に描かれる。現在50ドル札に描かれているマッケンジー・キング(元首相)と、100ドル札に描かれているロバート・ボーデン(元首相)は、紙幣から消える。ATMで最も使用される20ドル札は、これまでどおりエリザベス女王が描かれる。
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アナルセックスを禁じた刑法条文、撤廃へ [人権]

 トルドー政権は11月15日、アナルセックスに刑事罰を科す刑法第159条を削除する法案を上程する。
 刑法第159条第1項は、アナルセックスに対し10年以下の禁固を科している。それから第2項では免責事項について述べており、(a)夫と妻、(b)合意のある18歳以上の二者、の間によるものは第1項が適用されない。そして第3項では合意について、(a)二人を超える参加者がいた場合、および公共の場で行われた場合、(b)(i)強制や脅迫あるいは詐欺や錯誤に基づく合意、(ii)精神的障害ゆえに合意できなかったという合理的疑いを越えて裁判官を納得させられない場合は、合意があったものと解さないと述べている。
 カナダでは、合法的に性行為ができるのは16歳以上(※2008年までは14歳以上)である。ただし、教師やコーチなど指導的な立場の人との性行為や、ポルノ出演、売春は18歳以上である。
 第159条の撤廃は、ゲイ・コミュニティにとって悲願であった。同性婚がすでに認可されているにもかかわらず、第2項(a)は異性配偶者間のみを合法としているからである。また第2項(b)に従うと、16歳以上の未婚の異性カップルは(アナルに挿入しないかぎり)性行為が合法であるにもかかわらず、16歳と17歳の同性カップルにとっては挿入行為が非合法のままである。さらに第3項(a)に従うと、16歳以上の未婚の異性カップルは3者以上(※原文:more than two persons take part or are present)での性行為が合法だが、16歳と17歳の同性カップルにとっては非合法となる。
 オンタリオ州裁判所は1995年、すでに刑法第159条を無効と判断した。だが条文は刑法に残ったままであり、2008年から2014年までオンタリオで22人が起訴された。新民主党のジョー・コマーチン議員は2011年、第159条を削除する個人法案(※党幹部会で採択されなかった法案。採択されると党議拘束がかかる)を提出したが、議会では審議すらされなかった。なお2005年にブリティッシュコロンビアで結成された「セックス党」は、党綱領に刑法第159条の削除を掲げていたが、2012年に解散している。
 政府の動向に対し、保守派はすでに行動を起こしている。保守系女性団体「REALウーマン」(REALはRealistic, Equal, Active, for Lifeの略)のグウェン・ランドルト氏は、「159条を改正ではなく撤廃するというなら、誰もが何歳でもアナルセックスできることになります」と警告した。


セックス党については以下を参照。
http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2009-03-31
http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2008-01-18
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【世論調査】カナダ人の多くは「カナダの価値」審査を支持 [人権]

 フォーラム・リサーチ社が1370人のカナダ人有権者を対象に行い、9月9日に発表した世論調査は、「移民申請者は反カナダの価値について審査されるべきだ」とする意見に67%が賛成することを示した。反対は24%、「どちらでもない」は9%だった。
 文化的価値による審査は、ジェネレーションX(1965~85年生まれ)及びベビーブーマー(1946~64年生まれ)で73%、男性で70%、女性で64%、中所得層(年収6万~8万ドル)で72%と、階層を越えて強く支持されている。地域別ではケベックで71%、オンタリオで70%と中部が高く、最も低いのは東部の56%だった。また保守党支持者で87%、低学歴層で76%と高かった。
 最も重要なカナダの価値を8つの選択肢から選ぶ設問では、最も重視されたのは「平等」の27%で、以下「愛国心」15%、「公正」12%、「寛容」11%が続いた。重視されなかったのは「多様性」9%、「思いやり」7%、「義務」5%、「礼儀」4%で、「最も重要なカナダの価値はほかにある」という回答が9%あった。
 保守党支持者にとって最も重要な価値は「愛国心」の29%で、次が「平等」の19%だった。自由党支持者にとって最も重要な価値は「平等」の33%で、次が「寛容」の16%だった。新民主党支持者にとって最も重要な価値は「平等」の29%で、次が「愛国心」の16%だった。「平等」は、中西部を除く全ての地域で最も重視されている。中西部では「愛国心」(20%)と「思いやり」(19%)が最も重視されている。
 59%のカナダ人は、一種類以上のムスリム女性の衣類を禁止すべきだと考えている。ヘジャブとニカブとブルカを禁止すべきと考える人は29%、ニカブとブルカを禁止すべきと考える人は15%、ブルカのみを禁止すべきと考える人は15%だった。衣類を禁止すべきでないと考える人は36%で、5%は回答しなかった。
 衣類を禁止すべきでないと考える人は、保守党支持者で22%、フランス系住民で12%と顕著に低かった。自身を民族的に「カナダ人」と認識する人では34%で、「その他の民族」と認識する人に比べ低くなっていた。
 市民権宣誓式でのニカブ着用に反対する人は68%で、2015年10月の総選挙直前にフォーラム・リサーチ社が調査したときの59%より増加している。公務員のニカブ着用に反対する人も68%で、これも2015年10月の62%より増加している。いずれのケースも、保守党支持の年輩の中所得層男性から、ケベック在住者まで差異が見られない。それにもかかわらず58%のカナダ人は、「女性の衣服に関し国家は干渉すべきでない」と考えており、これに反対する人は29%しかいなかった。「干渉すべき」と考える人が多いのはケベック在住者の41%、保守党支持者の39%、新民主党支持者の32%である。
 カナダが受け容れたシリア難民は、いい影響を与えたと考える人は29%、いい影響を与えていないと考える人は31%だった。「カナダは移民を多く受け入れすぎている」と考える人は38%で、「移民が少なすぎる」と考える人は13%だった。「『適切な数』の移民を受け入れるべきだ」という意見には、41%が同意した。
 「カナダは移民を多く受け入れすぎている」と考える人は、ジェネレーションX及びベビーブーマーで42%、男性で41%、女性で35%、低所得層(年収2万ドル以下)で47%と、階層を越えた一定の支持がある。このほかオンタリオで42%、アルバータで42%、保守党支持者で58%、低学歴層で54%と高く、自由党支持者では20%と顕著に低かった。
 59%のカナダ人は、カナダへの移民がカナダの文化的価値と相容れないときは、自国の文化的価値を放棄しなければならないことに同意した。この意見は、高齢者(65歳以上)で67%、男性で64%、女性で55%、中所得層で68%と、階層を越えて幅広く支持されている。ほかにケベックで74%、保守党支持者で75%、低学歴層で64%と高く、自由党支持者では48%と低くなっている。

 これらの結果を受けて、フォーラム・リサーチ社のローン・ボジノフ社長は次のように分析した。
「この問題が難しいのは、大多数のカナダ人が『女性の衣服に関し国家は干渉すべきでない』と言いながら、その同じ人々がムスリム女性にとって宗教的に重要な衣類を禁止したがっているということである。カナダの価値問題についても、同様の難問に行き当たる。彼らは、最も重要なカナダの価値は平等だと言う。それでも彼らは、カナダに来る移民に彼らの価値を捨てるか、少なくともドア際で彼らをチェックして欲しがっている。ケリー・リーチ氏は、カナダの価値テストを呼びかけることで、カナダ人の心の琴線に触れたように思える。」


【参照】 【世論調査】市民権宣誓式におけるニカブ着用に圧倒的多数が反対
http://blog.so-net.ne.jp/canadian_history/2015-09-23
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カナダ人の4分の3が「ポリティカル・コレクトネスは行き過ぎ」 [人権]

 自らを「私はポリティカル・コレクトでない」と称したドナルド・トランプ氏が、ついに共和党の大統領候補に擁立されることになった。かなり多くのカナダ人は、トランプ氏に大統領になって欲しくないと考えているが、アンガス・リード社が8月17日に1510人の成人カナダ人を対象に実施したオンライン世論調査は、カナダ人がポリティカル・コレクトネスについて過敏になりすぎていると感じていることを示唆している。
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 回答者の76%は、「ポリティカル・コレクトネスが行き過ぎている」と答えた。そのように考える人は、55歳以上では82%、35~54歳では78%、18~34歳では67%と、高齢になるほど多くなった。
 回答者の33%は、「異なる背景を持つ人々を怒らせないよう言葉に気をつけなければならない」(以下Aと呼ぶ)に同意した。いっぽう回答者の約3分の2は、「このごろはあまりにも多くの人々が、他者の言葉使いにすぐ腹を立てる」(以下Bと呼ぶ)に同意した。
 保守党支持者では、Aに同意した人は21%、Bに同意した人は79%だった。自由党支持者では、Aに同意した人は40%、Bに同意した人は60%だった。新民主党支持者では、Aに同意した人は38%、Bに同意した人は62%だった。支持政党に関係なく、AよりBに同意する人の方が多いが、Aに同意する人の割合が左派2党は、保守党の2倍いることがわかった。
 アンガス・リード社はまた、アメリカのピュー・リサーチ社の調査も引用している。それによるとアメリカ人の59%が、ポリティカル・インコレクトな話への耐性が必要だと考えている。民主党支持者では、Aに同意した人は61%、Bに同意した人は37%だった。共和党支持者では、Aに同意した人は21%、Bに同意した人は78%だった。無党派では、Aに同意した人は32%、Bに同意した人は68%だった。
 こうして見ると、カナダ保守党支持者とアメリカ共和党支持者のデータはほぼ同じで、カナダ新民主党支持者とアメリカ無党派のデータもほぼ同じだが、アメリカ民主党支持者だけがBよりAが多くなっている。
 回答者の78%は、「見知らぬ人の前で意見を言うべきでない」に同意した。また回答者の80%は、「誰かを怒らせずに話すのは不可能だと感じている」に同意した。
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性別を表示しない健保カードでパスポート発給を拒否 [人権]

 オンタリオ州ハミルトン在住のレイチェル・ベスタードさん(24歳)は、先週パスポートの取得を却下された。それは、6月から州政府が発給している、性別を表示しないオンタリオ健保カードを提示したのが原因だった。
 ベスタードさんは今年10月、ヨーロッパへ旅行するためにパスポートを申請した。そのためには保証人のサイン、パスポート用写真、出生証明書と政府発行の写真付きIDが必要だった。彼女は運転免許証を持っていなかったので、写真付きIDとしてオンタリオ健保カードを提示した。ところが彼女が今年受け取った健保カードは、LGBTQへの配慮として性別を表示していなかった。しかしパスポートの申請には、写真付きIDが氏名・生年月日・性別を表示していることが求められている。
 2017年からは、性別を表示しない運転免許証が発給される。そこには性別として男性の「M」、女性の「F」のほか、その他の「X」を選択することができる。新しい運転免許証が発給されれば、同様のトラブルが続出することが予想される。
 これについてベスタードさんは、性別を表示する臨時の健保カードを取得すれば、パスポートを取得できるだろうとオンタリオ州政府に言われたと語ったが、彼女はそれをその場しのぎの対策であり、今後起こるであろう問題への対処になっていないと憤慨した。彼女は、問題の本質は州政府と連邦政府が協議していないことだと指摘した。
 パスポートを取得するには、オンタリオ写真カードを取得するという方法もあるが、郵送で到着するのに4~6週間かかるため、10月の旅行には間に合いそうにない。
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安楽死幇助法案が成立 [人権]

 カナダ上院は6月17日、安楽死幇助を合法化する法案(C-14号法案)を44対28の賛成多数で可決した。法案はその2時間後、総督の勅裁を得て成立した。
 上院は15日、対象を終末期の患者に限定した条項を削除する修正を64対12(棄権1)で可決し、法案を下院に返付したが、下院は16日にこの修正を拒否し、法案を再び上院に送付していた。上院では、下院を納得させることが難しい現状では、再度修正し下院に返付しても同意を得ることが難しく、完全に廃案にするよりは法の規定がある方がましだという考えが支配的となり、政府案の受け入れに動いた。上院議員の中には、安楽死幇助自体に反対の者や、またより厳格な基準を求めた者もいたが、安楽死幇助の規定がないよりはましだと考え、賛成票を投じた。かくして、対象を「回復の見込みがなく死が予見される状態にあり」かつ「病状が終末期にある」人に限るという条項は、維持された。

 2015年2月6日の「カーター判決」により、安楽死幇助の禁止が違憲であり、1年以内の法制化を要求された。2016年2月6日、最高裁は法制化にさらに4か月の猶予を与えたが、その時点では病状が終末期にない患者にも医師に幇助され安楽死する権利があったと考えられている。だがトルドー政権が上程したC-14号法案は、同意のある成人のみに、不可逆的悪化の段階にあり、死が合理的に予見できる場合に制限されていた。
 無所属のアンドレ・プラット上院議員は、成立した法案には重大な欠陥があると語った。
「病状が終末期になく、かつひどく苦しんでいる患者たちから医師に幇助され死ぬ権利を政府が奪ったことは、重大かつ残酷な誤りであると、私は確信する。だがおそらくそう遠くない将来、裁判所がその誤りを正し、政府はその誤りについて国民に弁明することになるだろう。我々上院は、政府にその誤りを警告でき、いい仕事をしたと思っている。」
 無所属自由党のセルジュ・ジョワイヤル上院議員も、終末期でない患者を除外する条文に異を唱え、安楽死幇助法案の合憲性について連邦政府が裁判所に諮問することを盛り込んだ修正案を作成したが、受け入れられなかった。彼は、終末期の患者に限定した条文が削除されずに成立したら、連邦政府を告訴するとまで語った。彼は自由党下院議員だった1976年、英語だけが航空交通管制官に使用される規則に異を唱え、裁判に訴えて勝訴した過去がある。彼は今後、裁判所に諮問することを州政府に求めると語った。
 無所属自由党のテリー・マーサー上院議員も、連邦政府が最高裁に諮問しないなら、絶望的な病状にある患者は、医師に幇助され安楽死する権利があるかどうかを裁判所に求めることで「地獄(筆者注※“hell”はswearwordにあたり、滅多に口にしない)を通り抜ける」ことになり、破産へと向かうことになるだろうと警告した。
 保守党のクロード・カリニャン上院幹事長も、苦痛でひどく苦しんでいる患者に長期間かつ高額の法廷闘争を強いることは「人道に反している」と批判した。
「明らかに、この法案には問題がある。」

 だがジョディ・ウィルソン=レイボールド法務大臣は、法案を最高裁に諮問することを頑なに拒否した。そして16日にジェーン・フィルポット厚生大臣との共同声明において、C-14号法案の合憲性を強調した。
「法案は、医師に幇助され死ぬことを希望する人々の権利と、社会的弱者を保護することの適切なバランスが保たれている。」
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安楽死幇助法案、下院へ返付:ピンポンゲームは終わるのか [人権]

 安楽死幇助法案(C-14号法案)は、裁判所が要求した6月6日の期限をすでに過ぎたが、先週上院で可決されず、死が予期される患者に限定した条項を削除するなどの修正を加え、14日か15日に下院に返付される。
 下院が上院の修正の全てを承認すれば法案は成立するが、下院が修正の一部を承認しなければ法案は再び上院に送付される。衆議院の優越が明記されている日本と異なり、カナダでは行き詰まりを打開する規定がないため、理論上は、両院が合意するまでいつまでも法案が両院を行き来するピンポンゲームが続くことがありえる。

 期限に間に合わせるため、下院で十分な審議もせず法案を急いで通過させたトルドー首相は、「選挙されない上院は、選挙された下院に従うべきだ」と言うが、事態を甘く見すぎたかもしれない。それでも上院議員たちの中には、終わりのないピンポンゲームにけりをつけるため、この次は下院の決議を尊重しようという動きが見られる。
 無所属自由党のグラント・ミッチェル上院議員は次のように述べ、下院へ歩み寄る意向を示唆した。
「これから何が起こるのか我々には正確にわかっているわけではないが、我々にわかっていることは、上院議員は選ばれていないが下院議員は選ばれているという事実である。」
 無所属自由党のモビナ・ジャッファー上院議員も、下院に敵対するつもりはないと弁明した。
「私はこれを、上院と下院の戦いだとは考えていない。我々は国民のため、ともに働こうと考えている。」
 彼女は、下院は上院の修正を全て却下するとは予想していない。
「私は、非常に思慮深い議論が起こると見ている。」
 無所属自由党のジョゼフ・デイ上院議員は、上院が下院に法案を二度以上返付した最後の例として、2006年の連邦責任法を挙げた。それは当初150個所の修正を受け、そのうち七・八十個所についての同意を得た。
「それには時間がかかる。そこで妥協が必要になる。そこでは、常に。」
 保守党のクロード・カリニャン上院幹事長は、修正された法案が下院にメッセージを送ると述べた。
「私は、下院に送るメッセージは非常に明白だと考える。」

 上院と下院が修正について合意に達しない場合、滅多に召集されることのない両院協議会に持ち込まれることがある。上下両院はこれまで非公式に談合することを好まなかったので、それは1947年以降召集されなかった。
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安楽死幇助法案、期限内の成立は絶望的:明日からグレーゾーンに [人権]

 カナダは現在、6月6日の夕刻である。連邦最高裁は2015年2月6日、医師の幇助による安楽死を禁止した刑法を違憲と判断して、1年以内の法制化を要請し、後に期限を6月6日に延長した。だがC-14号法案は、「エルボーゲート事件」など野党の妨害や首相のサミット出席などにより滞り、下院を5月31日にようやく通過し上院に回付されたばかりであり、期限内の成立は絶望視されている。
 ジェーン・フィルポット厚生大臣は先週、「我々は、6月6日の最終期限に間に合わない危機にさらされている」と述べ、すみやかな法案成立を要請した。だが法案は、期限内の成立を急いだせいか、下院では十分審議されず、修正もされなかった。しかし上院では「法案は憲法に則っていない」、「苦しんではいるが病状が終末期でない人々が除外されている」、「安楽死にはより厳格な基準が必要だ」、「安楽死幇助を望まない医師への保護が盛り込まれていない」などの異論が噴出し、すみやかな可決は望むべくもない。
 「無所属自由党」のジム・カウアン上院幹事長は、今こそ上院の必要性をアピールするときであり、遅延戦術や議事妨害はせずまじめに取り組むと語った。
「もしも我々が、政府が6日までの成立を望んでいるから、ただ可決して通過させればいいのだと言うなら、人々は何のために上院があるのだと言うだろう。我々は我々の仕事をする必要がある。」

 法案は、上院の憲法問題委員会で審議された。だが委員の内わけは保守党7、無所属自由党4、無所属1となっており、下院を通過した法案をただ通過させるだけの無意味な存在と考えられている上院には珍しく、激しい議論を巻き起こした。さらに本会議は、保守党42、無所属自由党21、無所属23、欠員19(定数105)という構成になっており、各党が「良心の問題」だとして党議拘束をかけていないことから、結果は予想ができない。自由党は2014年1月、幹部会から全ての上院議員を除名し無所属としたから、ピーター・ハーダー上院院内総務を別にすれば自由党政権とはつながりがない。さらにこのとき、数名の保守党上院議員が離党し無所属となっている。
 法案は、理論的には今週上院を通過し成立できるが、修正された場合は、下院に返付される。上院は内閣不信任と予算関連法案を取り扱わないことを別にすれば、建前上は下院と同等の権限を有することになっているものの、実際には下院の決議を覆すことは稀で、ここ70年間でわずか8度しかない。下院への返付は2012年以降はなく、2009年の例では、下院は修正に単に同意しただけだった。下院が上院の修正に同意しない場合は、両院協議会で協議されることになるが、1940年代を最後に行われていない。ここでも合意されない場合、カナダには行き詰まりを打開する規定がない。日本なら衆議院の優越が憲法に明記され、出席議員の3分の2で再可決・成立できるが、英連邦諸国は慣習法で規定がないため、法案が上下両院へ何度も回付されたり返付されたりを、両院が納得するまで繰り返すことになる。
 カウアン上院幹事長は、C-14号法案には瑕疵があると考えており、悪法を作るより法がない方がましだという信念に基づき、政府が期限内成立を要請しているにもかかわらず、十分な審議と修正が必要と確信している。
「法案が修正されないかぎり、私は賛成票を投じない。」

 法案が期限内に成立しなければ、終末期医療にたずさわる医師たちは、7日以降は禁止も合法化もされていないグレーゾーンに突入する。治療法がなく苦痛にあえいでいる終末期の患者から、安楽死幇助を求められたらどうするのかという難問を突きつけられることになりかねない。だがトロントのマイケル・ガロン病院に勤めるケビン・ワーケンティン医師は、終末期医療に14年間従事して、安楽死幇助を求められたことは5回しかなかったと語り、安楽死幇助を求める患者が7日以降に殺到するわけではないだろうと予測した。
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連邦政府、ニカブ訴訟に上告せず [人権]

 ジョディ・ウィルソン=レイボルド法務大臣は11月17日、ニカブ訴訟について連邦政府は上告しないと発表した。
「我々が多様性を受け入れて、すべてのカナダ人の基本的自由を尊重する観点を、我々の政権はとる。そして、これは我々がそれらの価値観を保護することを確かなものとする仕事の始まりである。」
 市民権宣誓式において、イスラム教徒の女性がしばしばニカブを着用していたのに対し、保守党政権は2011年に着用禁止法を制定した。ところがパキスタン出身のズネラ・イシャークさんが、違憲立法だとして訴えを起こし、2月の一審と9月の二審で勝訴したため、保守党政権は10月の総選挙で再選されれば上告すると公言していたが、敗北し下野した。
 ニカブ論争は総選挙の争点にもなり、左派の自由党と新民主党はニカブ禁止に反対を表明したが、世論調査は国民の多くが禁止に同意することを示した。ケベック州における支持基盤が、自由党がアングロフォン地域だったのに対し、新民主党はフランコフォン地域だったため、ニカブ論争は自由党には大きなダメージにはならなかったが、新民主党にとっては支持率を急降下させる原因となった。なお二審判決を受けて10月の総選挙は、ニカブ等を被ったまま投票する権利が認められたため、カボチャやスーパーの紙袋などを被って投票するパフォーマーの姿が全国的に見受けられた。
 なお市民権宣誓式出席に先立ち、個人を識別するため担当者に顔を露出する行為は、いまだ要求されたままである。
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【世論調査】市民権宣誓式におけるニカブ着用に圧倒的多数が反対 [人権]

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 CBCが9月17日と18日に1万3930人を対象に実施した世論調査は、圧倒的多数が市民権宣誓式におけるニカブ着用に反対することを示した。
 「市民権宣誓式において、宗教的な理由で顔を覆うことは許されるべきか」という質問に対し、賛成は19%、反対は72%と、圧倒的に反対が多かった。
 支持政党別に見ると、反対はケベック連合支持者が96%で最も多く、次が保守党支持者で92%だった。それから新民主党支持者は62%、自由党支持者は57%、緑の党支持者は51%で、支持政党に関係なく、連邦議会に議席を持つ政党の支持者はいずれも反対が多数を占めている。
 賛成は、緑の党支持者で31%、新民主党支持者で29%、自由党支持者で28%だった。

 2014年ケベック州議会総選挙でケベック党が敗北した理由は価値憲章だと、多くの批評家は指摘するが、宗教問題は依然としてケベックで論争の的であり続けている。各種世論調査は、カナダで最も保守的な地域は中西部で、最も革新的な地域はケベックであることを示すが、ニカブ容認に関しては、地域別に見るとケベックが際立って反対が多く90%、それから中西部72%、東部68%、オンタリオ66%、ブリティッシュコロンビア58%と続く。
 トロント大学で政治学を教えるクリストファー・コックレイン教授は「これは保守党がケベック進出をうかがう数少ない道の一つだ」と解説した。ニカブ容認について、保守党とケベック連合が明確に反対してきたのに対し、左派の自由党と新民主党は、難しい立場にいると彼は指摘する。
「新民主党と自由党がニカブ禁止あるいは規制を表明すれば、相当な支持を失うことになるだろう。ケベックで新民主党と自由党に大きくリードされている保守党にとって、この問題は彼らへの支持を奪いケベックに進出する、絶好の機会である。」


図:ヘジャブの普及度。
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在外市民の選挙権を否定:ドナルド・サザーランド氏、投票できず [人権]

 オンタリオ控訴裁判所は7月20日、外国に5年以上滞在したカナダ市民の選挙権を認めたオンタリオ高裁の判決を覆した。これにより、近い将来実施される連邦議会総選挙において、ドナルド・サザーランド氏を含む150万人ものカナダ市民が投票できないことになった。

 5年以上滞在したカナダ市民の選挙権が制限されたのは、マルローニ政権時の1993年である。このときは、休暇のため一時的に帰国するだけでも選挙権を回復できた。またこのときの改正は、裁判官・精神障害者・更生施設に2年未満収容されている者への制限を解除した。2007年には選挙管理委員会が、一時帰国による選挙権回復を見直し、居住していることを要件とした。
 2012年、ニューヨークに暮らすカナダ市民ジリアン・フランクさんとジェイミー・デュオンさんは、投票する権利を求めて訴えを起こした。オンタリオ高裁のマイケル・ペニー判事は2014年、居住ではなく市民権が選挙権の必要条件であるため、外国に滞在したカナダ市民の選挙権を制限する選挙法は違憲だと判断した。

 オンタリオ控訴裁は、2対1で高裁判決を覆した。ジョージ・ストラシー首席判事は「国政選挙において、実質的に影響のない非居住者に投票権を認めることにより、カナダで日々現実の生活を過ごしている人々に影響を及ぼす権限を与えることは、不当である」「カナダに居住せず、カナダの法律を受け入れる必要がない人々が投票できるならば、我々の民主主義の合法性をむしばむことになる」と述べ、さらに原告の2人について「彼ら自身の要求により、カナダとの関係を自発的に断ち切った」と定義した。彼はまた5年の制限について、イギリスの15年、オーストラリアの6年、ニュージーランドの3年と比較し「理にかなった、最小限の制限」と判断した。

 判決を受けてフランクさんは「まるで自分が二級市民になったように感じた」と語った。
 ヨーク大学で政治学を教えるデニス・ピロン教授は、グローバル化した社会では、市民権についての考えも変化しうると指摘した。
「民主主義の本質は、自分の生活に影響を及ぼすことを決定する能力が、人々にあることだと私は考える。」
 彼はまた、トロント市議会が投票権を定住者に与える法案を可決した例を挙げ、問題は市民権のみにとどまらず、法律に影響を受ける全ての住民にまで拡大する可能性に言及した。
「この論争はひょっとすると、誰が投票するにふさわしいかという、より大規模な論争をひき起こすかもしれない。」

 保守党政権は2014年1月の高裁判決を受けて、12月にようやく市民投票法案(C-50号法案)を上程した。政府は在外カナダ市民が投票可能にするための法案だと主張したが、それには国外在住であるにもかかわらず、全ての選挙ごとに市民権の証明と選挙区登録を必要とした。カナダ在住市民はいつでも登録できるのに、在外市民は必ず選挙公示後に、しかも郵送でしか登録できず、法が規定する最低選挙期間が37日で、50日を超えることが稀であると考えると、郵便物が往復している間に投票日が過ぎてしまうことも考えられる。さらに選挙区を決定するため、カナダにおける最後の住所地の証明が必要だが、パスポートには住所の記載がない。この法案は「市民投票阻止法案」と呼ばれ強い批判を受けたが、可決されないまま第41回連邦議会の第2セッションが夏休みに入り、近く解散・総選挙が実施されそうなため、廃案になる見込みである。
 2011年に実施された連邦議会総選挙では、国外に5年未満滞在する市民6000人、国外に駐留するカナダ兵2万6000人、受刑者1万5700人などによる特別投票は、かなり多くが自由党に投じられた。グレーター・トロントの選挙区43のうち、特別投票で自由党候補が最も多くの票を獲得した選挙区は34にのぼった。そこで保守党政権は、在外市民の投票を阻止する必要があるのではないかと噂されている。フランクさんは、政府はなぜこの法案を是が非でも可決させず廃案にしたのか、理解に苦しむと語った。
 なおオンタリオ控訴裁のうち、高裁判決を退けたジョージ・ストラシー判事とデビッド・ブラウン判事の2人はハーパー首相(保守党)に指名され、高裁判決に同意したジョン・ラスキン判事はクレチエン首相(自由党)に指名されている。

 カリフォリニア州在住の俳優ドナルド・サザーランド氏は、7月29日グローブ&メイル紙に手紙を送った。彼は1935年ニューブランズウィック州セントジョンに生まれ、2010年バンクーバー・オリンピックではオリンピック旗を持って入場した。

「私は、カナダ人である。しかし、以前ほどそうではない。私の名は、ドナルド・サザーランド。妻の名は、フランシーヌ・ラセットである。我々は、カナダ人である。我々は、パスポートを一つだけ持っている。カナダのパスポート、それだけだ。国境に行くと、なぜアメリカの市民権を取得しないのかときかれる。アメリカ市民になっても、そのままカナダ人でいられると。二重国籍が可能なのだと。だが私は、『ノー』と言う。私はカナダ人だ。
可能なかぎり、我々はカナダに滞在している。我々の家は、ここにある。私が『家』とか『ここ』とか言うとき、いまだによく考える必要がある。私はうっかり“eh?”と言わないよう、気をつけなければならない。40年ほど前の1978年、カナダ政府は私にオーダー・オブ・カナダ勲章を授与した。カナダ総督は、私に総督賞を授与した。私は、トロントのウォーク・オブ・フェームに名を連ねている。私のユーモアセンスは、カナダ人のものである。しかし、私は投票できない。
常にここに暮らしていなければ、投票することはできない。国外で暮らすアメリカ人は、投票できる。市民だから、彼らは投票することができるのだ! だが私にはそれができない。なぜか。私が市民でないからか。カナダで起きることが私には重要でないからか。私がどの国に誇りを抱いているか、私にインタビューした記者たちに尋ねてみるがいい。彼らは言うだろう。私はカナダ人だと。しかし私は国外在住者で、ハーパー政権は国外在住者を選挙に参加させない。
ル・モンド紙の社説を読んだだろうか。カナダはもはやカナダではないと、1ページかけて語っている。美しい、平和を希求するカナダ、人々がかつて知っていたカナダ、誇りにしていたカナダは、もはやカナダではないのだと。記事は、誰がカナダ人なのかについて詳述している。なんと嘆かわしいことだろう。そしてこの新しい『カナダ』、本当のカナダの地を占めるこのカナダの政府は、世界中のカナダ市民に投票権を認めない法律を躍起になって推進した。なぜか。それは、世界の国々が希求する価値を反映する政権に、我々が投票によって戻してしまうかもしれないと、彼らが心配しているからかもしれない。」
                              ドナルド・サザーランド、カナダ人
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